Indigo Tomato@博品館劇場 5/27 18時公演

 

 

サヴァン症候群の青年タカシとその弟マモル、そのまわりの人々が織りなすカラフルなミュージカル、登場人物はたったの五人なのですが、どのキャストの方もほんとに素敵でした。

以下、舞台の内容に触れています。

 

舞台を見て泣いて泣いてこんなに泣いたのは初めてでした。タカシにもマモルにも母親にもオブライエンにもアヤさんにも登場人物全員に感情移入できる。ときにはタカシの「僕は異星人だ」という悲しみに、タカシのためにすべてを犠牲にしてきたマモルに、幼い兄弟を置き去りにした母親の気持ちも理解できて、苦しかった…。「どうして笑ってくれないの?」という言葉は親にとっても子供にとっても本当につらい。

途中まで苦しくて苦しくて涙が出ていたけれど、タカシが赤ちゃんを抱くところからラストのタカシ、マモル、アヤさん3人の笑顔はタカシ、よかったね…という安堵で涙が出ました。

脚本ですこし違和感を感じたのは「施設の先生がもっと外に出ないとって言ってただろ!」というマモルの台詞。こだわりが強く毎日のルーティーンが変わることを恐れるタカシに施設の人がそんなことは言わないだろうな、と。あとタカシが周囲の人間に徐々に心を開いていく様子がこれも現実には難しいと思ったけど、これは現実ではないのだから…と思い直しました。

平間壮一さん、難しい役柄を自然に演じていました。相当な努力があったと思いますが、それを感じさせなくて。ほんとうにほんとうに素晴らしくて、平間さんを応援していることを誇りに思いました。パンフレットでは演出家の小林香さんが今回の平間さんのお芝居を両翼をもがれた状態だと言っていたけれど、一曲目から数字の羅列とカラフルな音楽の中で平間さんは歌いながらダンスを踊っているように見えました。

平間さんは2時間ほぼ出ずっぱりで、最初から最後までタカシそのものだったのでカーテンコールの「ありがとうございました!」という声や深々とお辞儀するところや「明日は月曜日なのでみなさんお仕事頑張ってください」と笑顔で気遣ってくれる姿を見て、あっ、わたしのすきな平間壮一さんだわ…と私も我に返りました。